建物は、大正の始め当時の大富豪、郷男爵が建てたものである。これに露天風呂を作りつけて日帰り温泉にしてある。道路から下る石畳の小道は京都の庭師が造ったものだそうだ。

建物は入り口が2階、1階が食堂、地下が浴室である。2階の谷側は広い休憩室で眺めが良い。

■印象

森に囲まれた隠れ家のような古い別荘を訪問したような気分だ。現在も確かにテレビなど音の出るものはなく、たいへん静かだ。混まないように客数を1日100組に限定している。

受付で浴衣を借りて、さっそく浴室に行く。広い窓の浴室は気持ちが良い。しかしここの楽しみは、谷の斜面に沿って造られている3段の露天風呂だ。

階段を下りて露天風呂に入る。程良い温度で気持ちがよい。覆い被さるようにカエデやホウの木がある。空を見上げると緑色の傘のようだ。湯船に浮かぶ落ち葉も気持ちがよい。

源泉は蛇骨川の河床にある宮ノ下温泉で、泉質はナトリウム塩化物泉、源泉の温度は68.3度である。

浴衣に着替えて休憩室に行く。この休憩室はたいへん気に入った。三方をガラス窓にした畳部屋で、早川の谷がよく見える。涼しい風が吹き通って、たいへん気持ちがよい。先客も思い思いに寝そべって静かな湯上がりを楽しんでいる。

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